専有部分

区分所有法に関するH15年のマンション管理士の問題でこんなのがあります。


〔問 1〕 1棟の建物に構造上区分され、独立して住居としての用途に供することができる数個の部分がある場合の区分所有権の成否及びその内容に関する次の記述のうち、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 この数個の部分は、法律上当然に専有部分となる。

2 この数個の部分は、その一つが法律上当然に共用部分となることはない。

3 この数個の部分には、法律上当然には各別に1個の区分所有権が成立する。

4 この数個の部分の区分所有者の数は、法律上当然に2以上となる。


一見すると簡単そうですが、しっかりの区分所有法の規定を理解しておかなければ1問目からいきなり長考してしまいそうな、不思議な問題。

答えは2なのですが、この問題の1の解釈が何パターンがあって面白かったのでご紹介致します。

■1  区分所有法で、「専有部分」とは、区分所有権の目的となり得る建物の部分をいう。そして、専有部分となりえても、規約によって共用部分とすることもできる。よって、1棟の建物に構造上区分され、独立して住居としての用途に供することができる数個の部分は、専有部分であるが、すべてが法律上当然(そのまま当然に、なにもしなくても法律の定めによって)に専有部分となるものではない。規約で共用部分に変更することもできる。例えば、建物内にある管理人室、集会室など専有部分となりうるものでも、規約で共用部分にすることができる。

■2 区分所有法第1条は、「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。 」と定める。すなわち、「することができる」と定めるように、一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居の用途に供することができるものであっても、法律上当然に区分所有権が認められるとはしていない。

■3 「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。そして、「区分所有権」とは、1棟の建物の構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所または倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときの、その各部分を目的とする所有権をいう。専有部分が成立するための要件として、区分所有する意思が必要。