宅地建物主任者資格試験 出題配分大幅見直し

 宅地建物取引主任者資格試験(宅建試験)の出題数の分野配分が、09年度から大きく変わる。試験実施機関である不動産適正取引推進機構は3月11日に試験委員会を開き、宅建業の実務に即した分野の問題を増やす方針を決めた。具体的には、50問中16問で定着していた宅建業法からの出題を20問に増やす一方、権利関係など他分野からの出題を1?2問ずつ減らすもようだ。不動産取引を巡っては、消費者保護強化を図りながら流通を促進するための法整備やルールづくりが進んでいる。実際の取引に当たる主任者に、こうした多くの法律や制度を横断する性格を持った業法の知識をより深く求めることが、透明性の高い市場づくりと流通活性化には欠かせないと判断したとみられる。

■「業法」16問から20問に/09年度試験から 取引実務の知識重視

 08年度までの宅建試験では、「宅建業法」が50問中16問のほか、「権利関係」15〜16問、「法令上の制限」9〜10問、「税法」3問、「その他(分野)」6問の出題比率が定着していた。今までも年によって1〜2問の変化がなかったわけではないが、今回のような大幅な出題配分の変更は、96年に導入した登録講習制度と並ぶ大きな〝改革〟といえる。
 一見すると単に出題配分が変わるだけだが、宅建試験は例年、合格ライン前後の点数に最も多くの受験者が集中する試験。勉強に割く時間や重点の配分を間違えると1点の差に泣く可能性も高まるだけに、出題比率を押さえての勉強が必須条件になっている。
 関係者の話を総合すると、09年度の試験から「宅建業法」が4問増えて20問になる一方、「権利関係」は2問減の14問に、「法令上の制限」は1問減の8問に、「税法」は1問減の2問に、それぞれ出題数が減る見込みだ。建物の構造、統計などが出題される「その他」は据え置かれる。
 これまでの試験で比較的やさしいと言われてきた「宅建業法」が増え、逆に最も難しいと言われる「権利関係」をはじめ「法令上の制限」などの比率が下がると、出題形式(問題内容)にもよるものの、試験全体の難易度は下がり、ここ数年32〜35問だった合格ラインは上がる可能性がある。
 ただ、「宅建業法」からの出題数が増えるにしても、どういった問題が増えるのかがポイント。「取引主任者の業務全般が集約されていると言っても過言ではない『重要事項の説明(業法35条)』と『(契約)書面の交付(業法37条)』に重点が置かれるのではないか」(千葉喬・本社専任講師)と指摘する関係者は多い。「権利関係」など出題数が減る分野も、どこが削られるのかによって大きく勉強法が変わることになりそうだ。
 また、出題配分変更の狙いが実務上の深い知識を問う点であることを踏まえると、「宅建業法」の問題内容が従来とは違った形式になる可能性もある。08年度の試験では従来なかった宅建業法と民法民法借地借家法とが複合した難易度の高い問題がすでに出題されている。「宅建業法」の出題数が増えるといっても、単純に難易度が下がることにならないことも十分に考えられる。

■役割増した“重要事項”

 宅建試験の出題配分を変えて宅建業法の比重を高めたのは、相次ぐ判例などを受けて消費者保護を求める流れが不動産取引でも加速していることに加え、土壌汚染・耐震偽装といった従来なかった不動産取引に関するリスクの高まりや、不動産と金融との融合が進んで不動産取引自体がかつてないほど複雑化していることが背景にある。
 国土交通省をはじめ国は、建築基準法や土壌汚染対策法の改正など各種の法律や制度整備を進めてこうしたリスクに対するチェック機能の強化を図っている。しかし、取引現場でこれらの情報が正確に消費者に伝わらなければ、いくら法整備を重ねても安全な取引や流通活性化は実現しない。
 そうした意味で、ますます重要度を増しているのが消費者に正確な情報を伝える役割を持った不動産取引のプロである主任者の業務であり、消費者への情報提供の手段として宅建業法が主任者に義務付けている重要事項の説明であると言える。
 業法35条が定める重説は、「関係する法律の改正や紛争事例の発生を受けて改正を重ね、説明事項は細かく多岐にわたっている」(国交省)。権利関係や法令上の制限、物件属性、取引条件など35条が説明すべき事項として列挙するものに関係する法律は数十あると言われ、毎年のようにその数は増えている。
 国交省では複雑で説明に時間がかかりすぎるようになった重説の合理化を目指した検討を進めているが、分かりやすい口頭説明にするかが目的であり、主任者の義務である書面作成の簡略化や、作成に必要な知識の軽減が狙いではない。
 試験問題の配分を検討した委員会でも「取引を安全に導く主任者業務の重要性を考えれば、主任者には宅建業法全般に精通した知識を持ってほしい」という行政機関の要望があったという。
 「例えば、重要事項である瑕疵担保責任ひとつとっても、業法の知識にとどまらず、品確法や民法などの知識がないと十分な説明も書面作成もできない。主任者に実務知識を深めてもらいたいとすれば、法律試験のようになってしまった現在の試験を改め、幅広い知識が横断的に要求される業法の比重を高めるのは当然」と本社専任講師の千葉氏は話す。『らくらく宅建塾』著者の佐藤孝氏も「主任者の仕事は重要事項の説明につきる以上、宅建試験の中心は業法であって当然。今こそ業法の出題を増やして業法に精通した主任者を育成し、消費者保護を強化することが重要だ」と話している。

■本社講師陣コメント

 千葉喬 宅建業法には各科目の知識が詰まっている。実務的な分野として業法の出題を増やすことは宅建の試験として当然。主任者の主な職務は「重要事項説明」と「書面の交付」に集約されているので、出題もここが中心になるのではないか。
 狩野義春 「実務的な分野の出題を増やす」となれば取引主任者の檜舞台である重要事項説明と書面の交付を中心に業務の規制が増えると思う。重要事項から2問の出題もあり得るだろう。権利関係と宅建業法、法令上の制限と宅建業法といった複合問題も予想できるが、判例や通達までは考えなくても良いだろう。それより権利関係や法令上の制限、税法で何が削られるかも気になる。
 らくらく宅建塾著者佐藤孝 宅建業法が20問になったら、ここでの失点が許されるのは3点まで。迷ったら負けであり、知識の正確さが要求される。過去問と予想問題を全問正解するまで繰り返すことが必要だ。





このニュースを聞いたとき…ちょっとだけ嬉しかったですww

それは、、とある楽して宅建試験に合格する方法という事を謳った本に民法宅建業法を集中的に勉強すべし!なるものが書かれていたのでこの二つを集中的に勉強していたから。

しかし!!まだまだ油断は出来ません、ようするに残りの少ない出題配分箇所が特定しづらくなったということ!
緊張感出てきました。